画家を志す

奈良県立高田高等学校へ入学する。荒れた中学校とは打って変わり、温和で自由な校風の高校で精神的に開放される。画家になりたいという夢へ向けて迷いなく美術部へ入部。

顧問の教師が制作意欲旺盛な画家であり部活動は活発で、石膏像が揃う美術室で日々デッサンに集中し、休日には奈良県内の寺社仏閣や自然豊かな田園風景を自転車で走り回り写生に明け暮れる。

高校一年生の時、父に将来は画家として生きていきたいという意志を明かす。兄弟も多く経済的な事情もあり画塾に通うことは許されなかった分、顧問からのアドバイスと画集や技法書を参考にほぼ独学ではあったものの描く楽しさを知り充実した高校生活を過ごす。

しかしながら、授業中も周りの友人をクロッキーしたりノートにもデッサンばかりするなど、進学校の勉強には全くついていけないレベルに陥ってしまう。
大学受験は迷わず芸大を志望し、実技には覚えがあったものの案の定学科試験（共通一次）の成績が振るわず浪人してしまう。